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2007年春。納車当日の記念撮影。ピカピカだった頃。 |
九十九里にジープ登場!
ビーチサイドベース、ベイサイドベース、ブルースカイベース…。“BSB”という名前には様々な想いが込められています。
ここに大人が遊べるスペースを創りだし、ガレージを建てるワケですから、もちろんクルマも必要です。
どんなクルマで遊ぼうかな!? ケータハム・セブンもいいな…。BSBプロジェクトの発起人、ファクトリーギア社長の高野倉隊長も様々に想いを巡らせていました。
でも青い海、青い空 といったらやっぱりジープでしょ! オープンでしょ!! ということで、マスコットカー第一号は
ジープ・ラングラーに決まったのです。
実はこのクルマ、某雑誌の元編集長が乗っていたクルマです。え? 誌名がバレバレですって?
まあそれはさておき、新しくやってくるジープのことをもう少し詳しくご紹介しておきましょう。このクルマ、正しくは
ジープ・ラングラー・ルビコン といいます。「ラングラー・アンリミテッド」ではありません。今、みなさんがよく見かけるのは4ドアの「アンリミテッド」ですよね? でもBSBにやってきたのは昔ながらのショート車。2ドアのジープです。
実はアンリミテッドが発売されるまでラングラーに4ドアは存在していませんでした。でも「ジープを家族で使いたい!」というファミリー層に向けてクライスラーが英断を下したのです。その後世界中でヒットしたのはご存知の通り。日本でも今や、4ドア:2ドアの出荷比率は9:1といわれています。ショートモデルは今や希少なのです。
RUBICONの文字
で、その次のグレード名「ルビコン」って何? って話です。ボンネットの両脇に RUBICON ってステッカーが張ってありますね。ルビコンといえば「ルビコン川を渡る」の故事を思い出す方もいらっしゃるでしょう。古代ローマの ユリウス・カエサル が
「賽は投げられた」と叫びながら元老院の命令に逆らい大軍を引き連れてこの川を渡ったことはあまりに有名な話です。が、このグレード名は古代ローマの川の名前ではありません。
ここで言うルビコンとはアメリカの林道のこと。カリフォルニア州を南北に貫くシエラネバダ山中をLAKE TAHOE(タホ湖)に向かって東へ向かう、激しくも素晴らしいオフロード・トレイルのことです。
ここは全米のオフローダーにとって特別な場所。“聖地”といっても過言ではありません。
以下の映像はアメリカのオフロード・カスタマイズのパーツメーカーが作った3部作ですが「あこがれの地」ルビコンを初めて目指す一般オフローダーの期待と不安、そして挑戦と達成感がよく表現されていると思います。
ジープは昔からこのトレイルで鍛えられて来ました。新型車は必ずこのトレイルでテストを受ける、とも言われています。このトレイルがあったからこそジープはジープであり続けている、といってもいいでしょう。
じゃあ、その名をグレードモデルに持つラングラーがどんなモデルなのか?
それはそれは素晴らしいスペックを備えたメーカー純正のフル・カスタマイズカーなのです。まあ詳しくはまた次回以降にお話しますが、この「ルビコン」グレードで運転席ドアの窓までが取り外し可能な幌で仕上げられた6速マニュアル車は、日本では 2007年 の新型車初回導入時にしか販売されていません。一度こっきりのロットしか輸入されなかった超希少モデルであることはお伝えしておきましょう。
もうお気づきかも知れませんが、いきなり始まったこのマニアックなジープ解説の案内人はファクトリーギアの社員ではありません。ルビコンの元オーナーであり、現在フリーランスライターとして雑誌記事や映像を作っている河村が担当しています。
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大好きだったジムニーもジープスタイルで |
僕の四輪駆動車との出会いはジムニーでした。幌を外し、ドアを外し、フロントウインドウを倒して大自然の中を走る快感と感動を20代の頃に知って以来、ずっとこの道を走り続けています。
いま思えば、まだ見ぬジープへの憧れが当時の私をこのようなスタイルに駆り立てていたのかも知れません。いずれにせよ、雑誌社勤務時の最後のキャリア時代に、一番欲しかったラングラーを手に入れました。
そんな僕が家の事情でラングラーを手放すにあたり、お声がけいただいたのが高野倉隊長だったわけです。「河村君、そのジープ、僕に譲ってくれないかい? BSBのマスコットカーにしたいんだ」。その電話をいただいた時、どんなに嬉しかったことか。
2ドアジープで幌車ともなれば、後席は狭く荷室も狭く…完全に趣味のクルマです。それだけにクルマもオーナーを選びます。ですから内心「カーライフの中で本当に必要としている方に嫁いでくれたらいいなぁ」と心配していたのです。
それが、オープンカーの好きな高野倉隊長の手に渡り、九十九里のガレージでファクトリーギアの皆さんに思いっきり遊んでもらえるなんて、こんなに幸せなお話はありません。
でも、この子は7年の使用でだいぶくたびれていました。一度も故障したことはなく、機関の程度も上々ですが、7年間頻繁に開け閉めを繰り返してきた幌が壊れ始めており、青空駐車のおかげで樹脂パーツが白く変色していました。
このままでは爽やかなBSBの未来像に似合うはずがありません。
わかりますか?黒いパーツが紫外線にやられ、ことごとく白濁してしまっています。
そこで、この子の内外装をリフレッシュさせていくプロジェクトがスタートしたのです。担当はファクトリーギア本店の若き店長、水口君。僕の役割は一緒にプロジェクトを進めながらその模様を逐一レポートしていくことです。
そして可能であれば今後、ここ九十九里で皆さんに海の魅力を教えていただきながら、逆に私は「山とジープ」の素晴らしさをお伝えしていけたらさらに嬉しいな、と考えているのです。
ではみなさん。以後の連載をお楽しみに。
よろしくお願い申し上げます。
ファクトリーギア本店店長
水口敬博
高野倉隊長より今回のジープ・リフレッシュ計画を一任されたファクトリーギア本店(千葉県柏市)の若き店長。北海道札幌市出身。様々な工具を熟知する彼が工具選びのアドバイザーになってリフレッシュ作業が進行します。ただしクルマを本格的にいじるのは初めてなので、リフレッシュ・ストーリーはクルマビギナーの目線で進めていきたいと思います。
フリーランス・エディター
河村 大
1969年生まれ44歳。東京都在住。26歳から15年間4x4MAGAZINE勤務。2006年〜2012年まで同誌編集長。現在はフリーランス。主に四輪駆動車関係の記事や映像を制作。趣味はカメラやカヌー、林道や温泉探訪など。よろしくお願い申し上げます。